Vampire is

 

The disease is never cured

The enemy in the battle field

The sudden death

 

 

18世紀初頭、オーストリア軍統治のセルビア。そのセルビアのキシローバ村で起きた

1725年のある1件によって西欧が初めて東欧に吸血鬼を発見し、

その後、大ブームを引き起こしたという。

セルビアの吸血鬼とは、どのようなものなのだろうか。

 

  

セルビアバンパイヤの特徴

 

吸血鬼になるもの   Why do they become Vampires? The primary causes.

・犯罪者や悪人。死体の上を猫が飛び越えた時、その上にひとの影がさした時。水死者。

・墓穴が夜中、開いたままになっていた時。

・イスラム教に改宗したキリスト教徒。魔女。又、聖金曜日、復活祭、クリスマスから

   公現祭までの間、四句節などの祭日に受胎した子。

 

◇吸血鬼の姿   The forms

・狼・馬・ロバ・ヤギ・犬・猫・鶏・ねずみ・蛙・へび・イナゴ・蝶など、

さまざまな動物の形もとる。

・大きくも小さくもなれる。どんな小さな隙間や鍵穴からも侵入可能。

・毛むくじゃらで爪が長く、赤い目や歯をしていて、口から炎を出す。

・体には骨がなく、転がり歩く血の詰まった皮袋。

 

◇吸血鬼の行動形態   The behavior

・墓の中で目をあけて横たわっている。夜、満ちていく月の頃出歩くが土曜日は避ける。

教会の鐘の音を聞けば、墓にもどる。

 ※土曜日生まれの者に対して、何もすることができない。見つかり次第殺されてしまう。

・家畜を襲う。水車小屋に好んで出る。四辻でバッタリ出くわすこともある。

 

吸血鬼にならないための予防法   The prophylaxis not to become Vampires

・動物が遺骸を飛び越えたときは、同じところを飛び戻させる。

・悪人の死体は、腱を切る、針やリン木を臍に刺しこむ、胸の上に土くれを置く、

  舌に山査子の針を刺したりする。

・埋葬には古い履物をはいて、スカーフに山査子をつけておく、帰りに履物と山査子を

  道に投げ捨て、裸足で家に戻る。

 

◇吸血鬼の嫌いなもの・苦手なもの   The weak points

・水や茨を超えることは不可能

・火を怖がる

・扉にタールで十字を描くのも効果大

・黒い犬や四つ目(目の上に斑点)の犬を怖がる

・山査子の杭を恐れる

 

◇吸血鬼になった死人のチェック方法   How to check whether the dead person

has become a Vampire or not

・吸血鬼のいるところを避けて通る黒いオスの仔馬を墓地につれていく。

・墓のまわりに灰を撒いて見つける。

・墓がくぼんでいたり、墓の十字架がまがっている。

※セルビアには、他のバルカン諸国と同じく、埋葬後何年か(3〜7年)したら、

    墓を掘り返し、洗ってまた骨を埋め返す改葬習俗がある。

    このときまだ死体が腐っていないと「吸血鬼」になったと疑われる。

    その場合、司祭立会いのもと山査子の杭を首に刺す。

    なお、改葬習俗は、日本の沖縄にも存在する。

 

There’s the custom of reburial in Okinawa,  Japan as well.

       

◇吸血鬼退治法    How to exterminate

・杭を刺す。焼く    ・ところによって射殺も可能。

 

 

 

ブルガリア人の伝承は、セルビアに似ているという。

吸血鬼は40日の間、悪行をなし、その間、吸血鬼キラーによって殺されるか、

狼に食べられるかしなければ、骨格を備え、より恐ろしいものになる。

吸血鬼から身を守るため、ひまわりを家の戸口に置く。吸血鬼になる者は、

非常な高齢で死んだ者、泥棒、人殺し、大酒のみ、好色漢、売春婦、呪術師等。

正しい葬儀を受けなかった者や、猫その他の動物に遺体や墓穴の上を飛び越された者。

なお、吸血鬼は、土曜日には出歩かない。

吸血鬼キラーになれるのは、吸血鬼の子や土曜日に生まれた者。

マケドニア(人)では、新月のあとの水曜日に生まれた者。

 

クロアチアのバンパイア   Croatian Vampires

 

・1403年、パシュマン島で、プリバという女性の墓をひらき心臓に杭をうつ許可が、

  役所から下りた記録あり。

・1720年、死んだ司祭が、Kosac(コサツ)という吸血鬼になったとして

墓を暴かれている。フヴァル島では、大罪を犯しながら、平気で、ミサを

執り行った司祭は、吸血鬼と化してしまうそうだ。

 

ドゥブロヴニク周辺の吸血鬼たち

 

 ・Upirina(ウピリナ)は、邪視で、人を睨み殺す。

 ・Kosac(コサツ)、Kosica(コスィツァ)は、夜、人の名を呼び、答えると死ぬ。

 フヴァル島の、Ukosa,Umoraという亡霊も、人の名を呼んで殺す。

※セルビア・クロアチア語で語尾がaでおわるのは女性名詞。つまり、Ukosa,Umoraは

女性の亡霊だ。(←ここで、解ることをひけらかすわたくし(^v^)

 

ドゥブロヴニクの近くでは、邪悪な人や遺体が、獣に食われた人間は、denac(デナツ)

になる。守銭奴やその他の悪習のある者は、杭で刺したり、脚の腱を切ったりしなければ、

Vukodlak(ヴコドラク)または、Orco(オルコ)になる。

Orco(オルコ)は、ダルマツィアの妖怪で、墓地の近くに馬や驢馬、犬の姿で現れ、

人を背に乗せ、ぐんぐん大きくなって、高い木や塔の上に置き去りにする。それは、

救いを求める哀れな魂だとも洗礼を受けずに死んだ子供の霊だともいう。

 

ドゥブロヴニク近在コナヴリの、lorgo(ロルゴ)は、死後、墓から出て妻の元を訪ねる。

墓を暴くとロルゴは、その中に座っている。人々が山査子の杭で突き刺すと、

その妻は、血の革袋を産み落とした。血の詰まった革袋状の肉体は、molo(モロ)

呼ばれ、悪霊や悪しき死者たちが、死体に息を吹き込んで作ると考えられていた。

 

スプリト周辺には、manjinjorgo(マニュイヌヨルゴ)という海難死者の変じた

海の妖怪が驢馬や、転がる山羊の皮の姿で現れる。

 

  

〜吸血鬼の集い〜 The assembly

 

・イストニア島では、吸血鬼は、年に一度、ヨハネ祭の前夜真夜中まで、集って祝い、

 踊り、 殴り合う。

・ダルマツィアのペリェシャツ半島では、ある時、3人の吸血鬼が、墓場にいるところを

人間に発見され、吸血鬼の一人は、集ってきた人々に、「自分は今、客として来ている。

普段は、イスタンプールに埋葬されているから、誰も自分に手出しはできない」という

言葉を残し、あっと言う間に姿を消した。その後、アドリア海沿岸の村・ザオストロク

でも、同じような出来事があった。また、吸血鬼は金曜日の晩、ヘルツェゴビナの

ネウム山上で集会を開く、夜の12時を過ぎると、みな別の姿に変身する。

 

 

東欧のいたるところに存在する吸血鬼だが、見てみると、

吸血鬼になるもの・姿・行動形態・嫌いなもの・チェック方法・退治法

かなり共通点があるのがわかる。また、他国にはない特徴をもつものもあった。

 

 

・吸血キラー聖少女バフィーになれるのは、土曜日生まれの者というのは

  共通している。※土曜日生まれのものは霊を操る能力をもち吸血鬼を追い払う

  ことができる(マケドニア)

 

The persons who were born on Saturdays can become Vampire slayers.

・ブルガリアの退治法では、銀の銃弾で撃ち殺す。ドナウ川に連れ出して溺れさせる。

  呪文で水差しに閉じこめ栓をして火中に投じると爆発する。

・アルバニアでは、死体の足裏に針を刺す。

・吸血鬼になる者に、きちんと埋葬してもらえなかったというのは共通している。

“死体の上を猫が飛び越える”のは、日本でも、“死体の上を猫が飛び越えると

  猫魔が入り、その死体は  起き上がる”がある。 

  なお、ギリシャでは、トルコ人はキリスト教徒より吸血鬼になりやすいそうだ。

 

 

・日本では、風邪をひきそうになると大蒜を焼いて食べる方がおられる。

  バルカンでは、吸血鬼がこないよう、軒先に大蒜をつるすところがあるようだが、

  この場合の吸血鬼は病魔を意味するのだろう。

・生前、悪人など、どうしようもなかった者が吸血鬼になるケースが多いようだ。

  これは、“悪いことをすると地獄へ落ちて閻魔大王に舌を抜かれる”の戒めにも思える。

・また、この世に悔恨を残して亡くなったひとも該当するようだが、日本では、

  吸血鬼ではなく幽霊になってしまう。幽霊は、浮遊感・透明といった感じがあるが、

  吸血鬼は生ける死体であり、生々しさがある。

 

 

幼児の高死亡率、お産で死んでしまう女性、ペストなどの疫病、飢饉、戦乱、厳しい生活

・・・死は身近に存在した。

 

 

吸血鬼とは、戦乱で襲ってくる敵、快復することのない疫病への恐怖、

 

突然訪れる死そのものだった気がする。

 

 

 

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吸血キラー 聖少女バフィー

 

 

 

民俗学の吸血鬼

Ref. The Vampires in East European Folklore

涼が必要な頃となりました。参照させて頂いた書籍です。

更に詳しい伝承と涼しさを要する方は、

こちらの1冊にて・・・・・