関所のおしごと
関所、そこは、人馬や物が行き交い、何世紀にもわたって、社会の動きや
時代の流れを見つめ続けてきた場所。そして、近年では新型インフルエンザも
通り過ぎて行く。
弁慶の勧進帳 LadyMoon にとって、関所における最も印象深い話は、弁慶の勧進帳である。
平家討伐で、武将としての頭角をあらわした源義経だが、兄・頼朝に命を狙われることになる。
義経一行は、身の危険を感じ、奥州平泉へ向かった。加賀国安宅関(あたかのせき)で検問され、
富樫(とがし)に怪しまれるが、弁慶が、東大寺建立の勧進のため、諸国巡業していると答えると、
ならば、勧進帳を読んでみろといわれ、白紙の巻物を読み上げる。そして、一行の中に、義経
らしき者がいると咎められると、弁慶は金剛杖で、義経を思い切り殴るのだ。富樫はまさか、
弁慶が本物の義経に、そんなことをするはずがないと納得し、一行は無事、関所を通過する。
ところで、悠久のロマンにひたっている場合ではないのである。なぜなら、
関守も、くま大名のおしごとであるから、東海道の箱根に、江戸時代の
関所が復元されたと聞き、どんな職場か見学に行った。くま大名は
江戸時代、某関所の最高責任者を兼任していた。八王子千人同心
一番の職務といえば、日光火の番であるので、関守は常勤ではない。
交替で勤務していた。写真の方が、この箱根関所最高責任者。
伴頭という役職。小田原藩から交替制で、役についている。一番奥に
座っており、部屋の役人は全員小田原からの非常勤であった。
常勤者は世襲制で、その職についていたという。
入り鉄砲に出女が、関所取締りの要点である。幕府は諸大名を
参勤交代の名のもと、江戸に釘付けにし、大名の妻妾が江戸から国元
に帰ることを警戒したためである。そして、兵器(鉄砲が主)が、江戸へ
入ることに神経を使った。この箱根関所において、入り鉄砲はどうでも
よく,出女を厳しく取り締まった。左は、人見女という役の女性が、
髪をほどき、出女を取り締まっている様子。この人見女は、役人の妻か
母親が行い、殆どが異様な婆さまだったようだ。おそらく、武家の女性
の方に、庶民より厳しい取締りを行っただろう。旅行好きなわたくしには、
たまったものではございません。
↓役員室
八王子の関所では、出女に厳しくという記載はないが、人見女のような
女性ボディーチェッカーは存在した。箱根のように、役人の妻か母親の
役目だったかどうかはわからない。くま大名家の女性は、このおしごと
には全く関与しておりません。ところで、八王子の女性ボディーチェッカー、
あまり評判がよくなかったらしい。各方面から批難の声が上がり、
1803年正月一日付で、関所あて婦人関守に注意戒告が発せられた。
箱根関所の人見女は、袖の下をもらっていたので、八王子も同じだろう。
どこの関所も、出女を取り締まるのは大事なお仕事。Main Dutyであるのだから、
女性ボディーチェッカーは、身内の婦人を家内工業的に使ったりせず、幕府や藩からの指名制で、
女性専門職にすべきだっただろう。男の関守は横目付だとか、かっこのいい役職名ばかりなのに、
“人見女”だなどと、ダサイ・気味が悪いこと極まりない。そもそも、わたくしが、異様な婆さまに、
髪をほどかれたりしたら、ムシズがはしるのである。
関所を通って旅をしよう
箱根八里はこの馬で越す! 芦ノ湖ウォッチング
お役人の休憩
温泉にきまってる?
ご飯を炊いている
こちらは常勤の御役人たち。ここのおしごとを、いちばんよく把握していた。